北海道での家づくりスタートガイド
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断熱性能はどのくらいあればいい?

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「高気密・高断熱住宅」には、明確な定義がありません。そのため現時点では、住宅会社が提示している情報を信じるしかない、というのが現状なのです。

しかし、一生に一回の住まいづくりだからこそ満足のいくものにしたいですよね。そこで省エネ基準のアウトラインや欧米の基準、日本の基準、目安のUA値、経済産業省の取り組み、北海道(1・2地域)のUA値を解説していきましょう。

省エネ基準とは

昨今よく見かけるのが「高気密・高断熱の高性能住宅」といったフレーズ。気密性や断熱性が高ければ、外と中の温度差が少ない快適な家づくりが可能なので、新たに注文住宅を検討している方にとっては非常に魅力的ですよね。

しかし、その一方で前述した通り明確な定義がありませんから、蓋を開けてみればそれほどの性能ではなかった、なんて恐れも。そこで、そういったリスクを回避するために見ておきたいのが「省エネ基準」です

国が建築物のエネルギー消費性能の
向上を目的として定めた
「省エネ基準」

省エネ基準は、1970年代のエネルギーショックをきっかけに何度か改正を繰り返しながら、国が住宅性能の基準として定めてきた指標。現在は平成28年に規定されたものが新しくなっており、以下2点をもとに評価されるのが一般的です。

一次エネルギー消費量は太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーシステムを導入することで軽減できますが、外皮性能に関しては「UA値(外皮平均熱貫流率)」や「ηAC値(平均日射熱取得率)」で表すことが可能で、それぞれ国内を分類した8つのエリアごとに基準値が設定されています。

アメリカの基準はどうなっている?

日本の省エネ基準があくまでも省エネルギーを目的として定められているのに対し、アメリカでは居住者の健康という観点から「最低室温規定」が設けられているのが特徴

メイン州、ニューハンプシャー州、バーモント州、コネチカット州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州、そしてニューヨーク州と州ごとの特性に合わせた決まりがあり、適切な温度以下にならない断熱性能が求められています。

例えばニューヨーク州では、賃貸住宅のオーナーに向けて「6時から22時の間は20℃、22時から6時までの間は13℃以下にならないように温度管理ができる断熱性能を有すこと」という規定があるのです。

イギリスでも断熱性能が一定水準に満たない賃貸住宅は改修を行わなければ貸してはならないといった制度が見られ、欧米における環境、住まいによる健康意識が非常に高いことが窺えますね。

日本の「歴代」
省エネ基準のいろいろ

対して日本の省エネ基準は1970年代から改正を繰り返してきた、とお話しましたが、過去の省エネ基準はそれぞれ以下のような名称で呼ばれています。

  • 昭和55年の省エネ基準:旧省エネ基準
  • 平成4年の省エネ基準:新省エネ基準
  • 平成11年の省エネ基準:次世代省エネ基準
  • 平成28年の省エネ基準:平成28年基準

いかがでしょうか?こうして見ると、何となく「新省エネ基準」や「次世代省エネ基準」が一番新しい基準のような気がしますよね。しかし、実際のところは平成28年度のものが新しくなっているため、ハウスメーカー選びの際には古い基準を前提としていないか注意しなければなりません。

求められる断熱性能自体は、平成11年から
ほぼ変化ナシ

ただし、平成25年~28年の基準であっても、断熱性能に関しては平成11年から大きく変化していないとの話も。25年度には「一次エネルギー消費量」という概念が生まれ、燃費性能の判断が可能になったことが最たる進歩と言えますが、基準レベルはそこまで変わらないのです

ちなみに、平成28年基準も基本的には根拠法(計算の仕方)が見直されたのみで、あまり変化はありません。とはいえ、その都度内容が精査されていることは確かですから、やはり平成28年基準に対応した住まいであるに越したことはないでしょう。

高断熱住宅の目安となるUA値とは

省エネ基準を求める上で、断熱性の指標とされる「UA値(ユーエーち)」。これは外皮平均熱還流率とも呼ばれ、外壁や屋根、天井、窓、床などから逃げる熱量を外壁や屋根といった外皮面積で割ったもので、この値が少ないほど断熱性能(省エネ性能)が高いと言えます

平成11年基準では外壁や屋根、天井、窓、床などから逃げる熱量を床面積で割った「Q値(キューち)」というものが用いられていたのですが、現在はUA値をもとに計算されるのが一般的です。

断熱性能は平均気温や気候の特性などによっても変わってくるため、必要とされているUA値の目安は、日本を8つのエリアに分けた上で定められています。ただし、例えば北海道は2エリアに分かれているように、同じ都道府県内でも異なる数値に当てはまる場合もありますから、省エネ住宅を検討する際にはしっかり確認しておきましょう。

経済産業省の取り組み

日本においても、近年では省エネ住宅の普及が望まれています。経済産業省や国土交通省、環境省といった機関も連携して「ZEH(ゼッチ/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」住宅を広めており、2018年からは経済産業省による補助制度「ZEH+(ゼッチプラス)実証事業」も開始されました

この「ZEH+(ゼッチプラス)実証事業」は、上記ZEH住宅(高い断熱性を基本として、太陽光発電をはじめとする創エネ、HEMS等の機器を用いた省エネを組み合わせた次世代型の住まい)よりも高い基準での省エネ住宅を普及すべく、条件に該当する住まいに対して補助金を与えるというものです。

2021年度には「次世代ZEH+実証事業」との名称で公募※が行われており、現在はいったん終了しているようですが、今後も再開される可能性はありますから、ぜひ情報をこまめにチェックしてみてください。

省エネ住宅は、各自治体でも助成・支援が
実施されている

省エネ住宅に対する補助や支援は、環境省や国土交通省なども力を入れています。各自治体でも新築住宅・改修などにあたって助成金を出しているところは少なくありません。

家を建てる際には事前に確認し、無理なく省エネ性能を導入しましょう。省エネ住宅に対応している工務店やハウスメーカーは、申請に関しても細やかに相談に乗ってくれるはずですよ。

1・2地域のUA値とは

では、例えば北海道(UA値のエリアとしては1・2地域に該当)の断熱性能はどの程度あるのが望ましいのでしょうか?

1・2地域のUA値省エネ基準

HEAT20は、2009年に立ち上げられた「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」。建築関係の組織や企業、エコや断熱を専門とする大学教授などの有識者によって構成された民間団体です。

G1はHEAT20が提唱する「省エネ・環境の質・コストのバランス解」、G2は「省エネ・環境の質のバランス解」で、できることならばG2の方が理想的な値であることが分かります。

北海道のUA値は全国的にも低めに設定されて
いる

上記の数値があまりピンと来ない方もいるかもしれませんが、北海道(1・2地域)は全国的に見ても寒冷地であるため、UA値が低めに設定されています

つまり、年間の寒暖差が激しいからこそ高い断熱性が求められている、というわけです。工務店やハウスメーカーの中には「北海道や寒冷地の特性をふまえ、基準となるUA値に対応」している地域に根差した会社も多いため、まずはお近くで探してみてはいかがでしょうか。

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